そのママバッグの中身に「防災」の意識はあるかい?
2014/09/02
毎年9月1日の「防災の日」になると「防災に備えて備蓄や準備を」とあちこちで言われます。
「そうだね。やらなきゃね」とは思う。東日本大震災後のあの日々の記憶も薄れがち。常に危機意識を持って行動に移せる人って意外と少ない。偉そうに言っているけど、自分もそう。
災害に巻き込まれて「ああ、きちんと備えておけば良かった」と後悔するのが自分ひとりならまだいい。「自業自得」ということで諦めもつく。
もし、自分の準備不足が、家族に、何も出来ない「我が子」にまで影響を及ぼすとしたら?
「乳児」「幼児」がいる家は、大人だけの家庭とは違う様々な準備が特に必要。自然災害に備えて準備しておこうよ。想像力をフルに働かせて心構えもしておかないとだよ。
今日は、「子育て家庭の防災について手っ取り早くできることはなんだろう?」と考えてみたエントリーです。
photo credit: cathycrea via photopin cc
子育て家庭ですぐに増強できる「防災」
家の備蓄・防災グッズに何を揃えたらいいのか?ネットで調べれば死ぬほど出てくるので言及しません。
「子育て家庭で手っ取り早く何が増強できるか?」と考えたら、「非常用持ち出し袋」をあれこれ買い込んで作る前に、「ママバッグ(マザーズバッグ)の防災仕様化」と「パパママの想像力をフルに働かせるシミュレーション」なのではないかと思った。今回は、この2つを掘り下げてみます。
ママバッグを防災仕様に見直す
いつ、どこで災害に遭遇するかわかりません。家に防災バッグを準備しておいても使えないこともありうる。
一から防災用品を揃えるより、リスク分散のためにも、日々持ち歩くママバッグの中身を「災害時を想定したグッズにバージョンアップしておく」「災害に備えたアイテムを追加しておく」という視点が大切ではないかと考えた。
基本的に「子どもに必要なもの」はだいたいママバッグに入っている。ここに一工夫加えることで、さらに防災意識を高め、いざというときのために役立てる「ママバッグ最強化計画」
ただでさえ多い子ども関係のアイテム。プラスして「防災」と言われても、あれもこれもと考えすぎて「旅行でも行くの?」という荷物の量になるであろうというのは想像にたやすいです。
「何が必要なのか?」を突き詰めて調べていくと「そうか、このアイテムはこういう風に流用できるのか!」と膝を打つような理由を持つモノが多かった。特に実際に東日本大震災で被災したママの言葉には重みがある。
自分が日常的に持ち歩くママバックに「入れておこう」と思った一例。
- 母子手帳・健康保険証のコピー
- 家族や親族の電話番号メモ(子どもでも読めるように平仮名で書き、濡れないようにビニール袋へ)
- テレフォンカード(被災時、携帯電話は使いものにならない)
- 携帯トイレ(災害時のトイレは不衛生のため。特に女児は恥ずかしがって我慢しがち)
- ホイッスル(閉じ込められた時用。弱い息でも大きな音が出るものを。コルクなどの玉が入っている笛はぬれると音が出ない場合があるので注意)
- LEDライト(小さなキーホルダー型など。ヘッドランプが授乳などにも使えて良い)
- 小型ナイフやはさみ、やすりなどが組み合わされた小型のマルチツール
- レジ袋・ファスナー付き袋(何かと代用がきく。未使用のものを分けておき、水が使えない時など食器にかぶせて使う)
- ゴミ袋45Lサイズ(雨具、防水、こちらも何にでも使える)
上はうちのママバッグに完全に抜けているものたちで、これが全てではない。パパとママの視点で違いも出る。子どもの年齢によって内容も違う。ただ、ひとつくらい「なるほど」と思ったアイテムありませんか?
欲張っても仕方ありませんが、この程度なら、通常のアイテムが入っているママバッグに追加しても大した量ではないです。
アイテム選考の際に参考になるサイトを挙げておきます。上2つは非常に勉強になります。
震災で福島から静岡に避難している大竹さんという2児のママのママバックの中身。震災経験者ならではの研ぎ澄まされた視点や限られたものを上手に流用する発想は、読んでいて「はっ」とさせられることばかり。そっくり真似すればいいのかも。ほんと読んでみて。
参考 地域づくりサポートネット「真希子ママの防災バッグのひみつ~ママバッグ編」(※PDF開きます)
また、子育て家庭の防災グッズのチェックリストできれいにまとまっていたのはこちら。別途PDFファイルが準備されており、印刷してチェックが可能なのもポイント高い。
参考 gooベビー「これがあれば安心!体験談&防災グッズチェックリスト」
アマゾンでは「赤ちゃんの安全」という視点で集めた防災グッズがまとめられています。
参考 アマゾン「ママ・パパが常備しておきたい防災グッズ」
その他、参考にしたサイトは以下の通り。
参考 NHKすくすく子育て「子育て家庭の防災」/大手小町「いつものママバッグを防災バッグに」/読売新聞2014年8月31日付
想像力をフルに働かせたシミュレーション
どんな場所で、どんな状況で、自然災害に遭遇するかわかりません。
ただ、自宅など比較的長時間いるような環境で被災する可能性が高いのは想像がつく。想像しやすいところから、被災した際に、どうやって身の安全を守るか、どうやって子どもを守るか、どうやって素早く子どもと避難するのか、どこに避難すれば安全か、家族で話し合っておいたほうが良い。
ここには、パパママの想像力が大きく関わってきます。いろんなパターンを想定して、いろんな方法を常日頃シミュレーションしておく。
被災したことないのに「想像せよ」というのは難しいです。想像力を膨らますためには、やはり「経験者の話」が一番役に立ちます。上にも書いたけど、いくら未経験の人が想像したところで、過酷な状況に身を置いた経験者の話には勝てない。
例えば、この「だっことおんぶの研究所」というサイト(作りかけのサイトなので頑張って作りきってほしい)の「役に経つ防災グッズ」というページを読んでいて「どあっ!」となった。
ベビーカーは使えません。ベビーカーではがれきの中を動けないからです。
そりゃそうだ。恥ずかしながら、ベビーカーで逃げる気まんまんでした。
がれきの中でベビーカーが使えないのと同様、「防災グッズを「スーツケース」に入れておいても持ち運びできないぞ!」とYahoo!知恵袋で質問者に対して回答者が指摘していました。
がれきだらけの状況に身を置かないと、こういう基本的なこともわからない。ほとんどの人がそうではないかと思うのです。
上記サイトでは「首がすわらない赤ちゃんはバスタオルにくるんでトートバッグに入れて逃げる。緊急時なので呼吸ができていれば大丈夫」「がれきの中でだっこの場合、親が転ぶと赤ちゃんも怪我をする」といった「そういう方法があるのか」「言われみればそうだよね」という視点を教えてくれます。
避難時は両手を開けておくのが鉄則らしいので、子どもをどう抱えて、どの大きさの荷物を持って、避難するのか?いざという時に手が足りないのではお話になりません。慌てないように練習しておかないと。
仮に地震が起きたら、屋内や屋外の状況はどうなっている?何を持ってどういう手順でどうやって逃げる?
地震だけに限らない。津波、暴風雨、土砂災害、自分の周囲で起こりうる自然災害に対する準備、災害後の停電生活インフラが停止した場合にどうするか?への備えは、すべて「親の想像力と心構え」にかかっています。自然災害以外の火事とかにも。
おそらくそのシミュレーションは突拍子もないことではない。情報収集をして、来るべき状況を想像し、そしてふだんから練習をしておく。子どもを守る親としての務めです。
まとめ
(防災のワークショップにて)非常食のパンや缶詰を口にする母親と子どもたちに
「子どもはお腹が空いても「まずい」と思ったものは、絶対食べない。いまお子さんが食べられたもの参考に備蓄してくださいね」と呼びかけた。
引用 毎日新聞2014年8月30日付
このエントリーを書きながら思うのは、防災は「言われてみれば「そりゃそうだ」なのだけど、想像力が足りずにちっとも考えが及ばないことだらけ」ということ。
災害に対する備えというのは、ほとんどの人が「言われてみればそうだね」なのでは?
これは自分で情報を取りに行く、特に経験者の経験談をかき集めて、それを基に準備をするしか対処法がありません。
子育て家庭、特に乳児や幼児がいる家庭は、一般の大人の家とは違うさらに上をいった備えをしておかないと、被災時にすぐに立ち行かなくなります。
被災者の経験談を自らの知識として取り入れ、仮想の環境下でどうしたらいいのか?何が必要か?を考える。事細かく、ありとあらゆる方法と可能性を考えておく。
考えすぎで結構。出番がなければ万々歳じゃないですか。
子ども、家族の安全と命を守るために、父親として何をせねばならないのか?「防災について軽く考えすぎていたかも」と深く反省しつつ、非常用持ち出し袋はとりあえず準備してある我が家は、「ママバッグの防災化」と「シチュエーションごとの細かい想定と対策を練る」にすぐに着手します。
ad
ad
関連記事
-
空手の道場訓に身を引き締められたついでに、子供の習いごとは「道」のつくものがいいかもねという話
2014年5月11日(日)放送のTBS「情熱大陸」を録画していたものを、流し見。 …
-
AEDの使い方や心肺蘇生を学べる「上級救命講習」を受けてみた
近所のショッピングセンターに家族で出かけた時のこと。 ぼーっと家族のトイレ待ちを …
-
怖い目にあった時はタクシーに助けを求める。ひとつの選択肢として子どもに教えておこう。
先日、Twitterで興味深いツイートが流れてきたのでリツイートしたのだが、よく …
-
うちの息子は変なの?アホなの? →変ではない。これが普通。イライラしない子育てのために「男の子」を勉強しよう。
「男の子」って、同性の父親でも頭抱えてため息が出るくらいわけわからんものみたい。 …
-
2015年クリスマスプレゼント用の人気おもちゃをアマゾンで効率的に探す近道
このエントリー読んだら、早く動き出しましょ。 「子どもへのクリスマスプレゼントな …
-
何歳から大丈夫?子供と行ってみよう「銭湯のススメ」
日本の古き良き文化「銭湯」。東京都内だけでもこの50年で約2600軒から約800 …
-
東海道新幹線にベビーカーごと乗れる席がある?調べてみた
妻の実家の大阪に初めてそろそろ1歳になる息子を連れて東海道新幹線で帰省することに …
-
この本が「パパ向け育児本」の新定番となる
子育て成功者の集い(?)NPO法人「ファザーリング・ジャパン」著の、パパに向けた …
-
東海道新幹線にベビーカーごと乗れる席があると聞いて実践してみた
東京から大阪へ、東海道新幹線を使って子ども連れで帰省しました。 ベビーカーをその …
-
今話題の人気おもちゃってどんなもの?「日本おもちゃ大賞2015」を一緒に見てみよう
毎年6月に東京ビックサイトで行われる、おもちゃの商談見本市「東京おもちゃショー」 …
Comment
子供乗せ自転車を、検索して見つけてから読み漁っているうちに、この記事にたどり着きました。
防災への意識は持ちながらも、ママバッグ重いの嫌、といかに軽くするかばかり考えるようになってしまっていました。
真希子ママの体験から生まれたリストはとっても参考になりました。
よくリストで見る母子手帳のコピー、具体的にコピーする箇所を教えてもらってやっとする気になれました。家族の電話番号をビニールにいれるなんて、画期的。
全てを常に携帯するのは難しいかもしれませんが、自分で取捨選択して真似してみようと思いました。
備えあれば憂いなしですね。
その後のねむたいさんちの防災バッグリストの記事がアップされるのも期待しています。
育休辞めて専業主婦さん
コメントありがとうございます。読み漁っていただき恐縮です。
たしかにおっしゃるとおり備えあれば憂いなしですよね。
うちもあれから妻のカバンには電話番号を書いた紙や、ゴミ袋などを入れるようにしてますし、僕の仕事のカバンにも家族分の保険証のコピーやゴミ袋を小さくたたんで入れてます。あとごくたまに服からちょろっと出た糸を切る時にハサミが使えて便利ですけどあとは出番のまったくないマルチツールもカバンに入れるようにしました。
重さにもつながりますしどこまでやるかですが、いざとなった時に焦らぬよう、自分の中で落とし所を見つけて準備しておくべきことなのかなと思ってます。